September 21, 2006
☆ファンデーション・コース☆
日本人の学生がイギリスの大学に入学するにあたって、殆どの人が通らなくてはいけない道がこれ、ファンデーション・コースです。日本語では進学準備コースとも呼ばれているようです。日本の高校を卒業して、このコースを受けずに直接大学に入学することは非常に稀です。これは日本人だけに限らず、アジア系の留学生は殆どこのコースを卒業することが大学入学の最低条件になっていると言えるでしょう。これは何故なのかと言うと、語学力もさる事ながら、イギリスと留学生の出身の国との教育制度の違いに理由があります。
イギリス人が大学へ進学するためには、A-levelと呼ばれる、日本で言えば高校に値する教育を2年間受けなければなりません(1年目をAS-level、二年目をA2-levelと呼びます)。義務教育を終え、大学進学を考えるイギリス人は6th form、またはcollegeとよばれる学校へ進学し、A-levelを学びます。その試験にパスし、願書を出した大学からの*)オファーをクリアしたら晴れて合格となります。このA-level、日本の高校のように沢山の科目を学ぶのではなく、自分の興味のある科目、または志望大学が指定する科目を最低3科目選び学びます。つまり、その2年間で、選んだ科目を集中的に、そして深く学ぶわけです。A-levelを終えた時点で、日本の大学で言う教養課程を終えたレベルになると言われています。中等教育を終えた時点での年齢は日本の高校を卒業した年齢と同じ位なのですが、イギリスの義務教育は日本より一年早く始まります。これらの理由により、日本人の留学生は、語学だけでなく、日本の高校が補いきれなかった教養と同等の学習にあたる1年をファンデーション・コースで補う必要があるという訳です。
ファンデーションへの入学も誰でも入れると言う訳ではありません。もちろんそれ相応の語学レベルが必要とされます(平均的にIELTS4.5~5.5)。ファンデーションの目的は、ただ教科と英語を教えるだけではありません。自分の志望する学部に関係した教科を選び、それを大学の授業スタイルで受けます。英語の授業も語学学校のそれとはまた違い、大学用の英語(Academic English)での論文の書き方や、スピーキングも大学の課題としてよくあるプレゼンテーションの仕方等を集中的に学びます。まさしく、大学進学準備コースです。私の通ったファンデーション・コースは、授業は徹底して大学の授業スタイルで行われ、課題の論文もコースの講師と附属大学の教授とで2段階で採点され、実際に大学レベルではどれ程の物が要求されるのかがファンデーションの時点で分かるような仕組みになっていました。
ファンデーションから大学への流れは、一般的にはA-levelの学生と変わらず、願書を出してオファーを貰うという形です。つまり、両方とも、大学側は特にそれぞれ試験を設ける事は無く、書類審査のみとなります(大学によっては面接や試験がある場合もあります。OxfordやCambridge、LSEがその例です)。実はイギリスでは、特例を除き、基本的には大学に直接願書を出すということはしません。UCAS(ユーカス)とよばれる機関があり、そこに第6志望までを書いて願書を提出します。提出期限は1月で(Oxford, Cambridgeや医療系は10月)、3~4月に志望校からUCASを通してオファーが知らされます。そのオファーを踏まえたうえで、それからさらに第1志望校と第2志望校に絞ります。UCASを通して出す願書は1つで、その願書をUCASはそれぞれの大学に提出します。願書の内容は住所、学歴と日本の願書と似ていますが、中でも一番重要と言われているのはPersonal Statementと呼ばれる自己紹介文です。学部への志望理由や、自己分析を書きます。「大学は筆跡鑑定士を使って筆跡からその生徒の性格を判断するらしいよ」という冗談も言われる程大事な部分です。明確で熱意が伝わる内容でなくてはなりません。
ファンデーションでは、UCAS専門のスタッフがいて、生徒の手続きの手伝い、大学選び、自己紹介文の書き方、また面接の練習など、様々なサポートをしてくれるので、是非活用してください。ですが、ここで一つ注意しなくてはいけないのが、提出期限が1月だという所。ファンデーション入学が9月の半ばだとすると、約3ヶ月で学部を決め、資料を集め大学を決めなくてはいけません。ですから、出発前から少しずつでも、行きたい大学を探し始めて居た方が良いでしょう。そしてもう一つ、大学選びのポイントがあります。最初に選ぶ6校は、上中下と、大学の入学難度を少しバラバラにして選んだほうが良いでしょう。そうすれば、後で最終的に2校選ぶときに、本命と滑り止めを確保できるわけです。難度の高い大学、または同じレベルの大学ばかりを選ぶと、万が一の場合、行ける大学が無くなってしまう場合もあるからです。
UCASを通してもらうオファーは、一般的にイギリスの学生が貰う物と同じです。UnconditionalかConditionalのどちらかで、Conditionalの場合は、ファンデーション終了時の総合成績が~%以上、IELTSは~ポイント以上、といった具合です。
私個人の経験を述べると、ファンデーション・コースは大変役に立ちました。大学に入って、授業が始まるまで、とてもついて行けないんじゃないか・・・等、不安が沢山あったのですが、実際始まってみると、ファンデーションで叩き込まれた授業の受け方、ノートの取り方、論文の書き方、プレゼンの仕方等が大変役に立ち、慣れるまであまり時間もかからなかった、と言うよりは、慣れる必要もそんなに無かった位です。ハードスケジュールで大変な1年でしたが、あの1年が無くてぶっつけ本番で大学の授業を受けると考えると、やはり無くてはならないコースだったのだと思います。
次回は大学入学についてお話したいと思います。
*) オファー:オファーとは、大学から提示されるもので、大きく分けて2種類あります。Unconditional offerとは、無条件合格といい、もうそのオファーをもらった時点で大学合格です。Conditional offerとは、条件付合格で、大学が条件として出した成績を最終的に得る事が出来たらunconditional offerがもらえるという仕組みになっています。もちろん日本人でも、イギリスの高校に通いA-levelをすれば、イギリス人と同じ大学入学のプロセスです。
Author: DiscoveryI | 2006年09月21日 14:34
Track Back
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.discovery-i.com/cgis/mt/mt-tb.cgi/19